個人事業主特有の勘定科目に『事業主貸勘定』と『事業主借勘定』がありましたが、会社設立後の勘定科目にはどんなものがあるのでしょうか?
■法人の場合
法人での似たような勘定科目としては、『役員貸付金』と『役員借付金』があります。
『役員貸付金』とは、法人の役員個人(主にはその会社のオーナー社長)
がその法人のお金を持ち出した時に、記載する科目です。
(「役員に会社の貸したお金」という意味になります)
『役員借付金』とは、反対に法人の役員がその会社に自分の資金を入れたことを指し、
「役員にお金を借りる」ということです。
しかし、個人事業のように、簿記のこの勘定科目への単純な記帳のみでは済ますことはできません。
役員が会社の金を借りる場合、まず取締役会の承認が必要となり、
その承認が記載されている議事録と、個人と法人(会社)との間で取り交わす
金銭賃貸借契約書が必要となります。
もし、役員が無断で会社のお金を使った場合、第三者の株主がいる会社では裁判に訴えられることもあるのです。
そしてこの貸付には、貸付利息が発生することが国税庁で定められています。
その利息とは、公定歩合プラス4%です。なお、法人はこの利息に対し法人税を支払わなければなりません。
利息を収入として計上するからです。
さらに、この賃借の記録は、役員が借りたお金を会社に返すまで何回でも繰り返して会計帳簿に記載され、
決算書に記さなければなりません。そして、銀行などの融資を受ける時にこの内容がネックになることが多いのです。
それは、『役員貸付金』を回収できるものかということが問題になり、
回収不能額と見なされれば自己資本額相当額から減額されてしまいます。
金融機関がこの貸付金を「換金性のない資産」と評価し、融資を検討する際のマイナス事項となってしまうこともあるのです。
役員が会社に貸す『役員借付金』ですが、
これは入金なのだから問題はないのではないかと思われますが、
税務調査でその内容を指摘されることがあります。この借付金をどのように役員が用意したのか、
役員のどの口座からその資金が出たかなどが問われ、過去の預金通帳を調べられることがあります。
これは、売上金の隠蔽や架空経費の計上など税金逃れのものかと疑われるからです。
このような疑念を持たれないためにも、資金の出所を明確に説明できるようにしておくことが重要になってきます。
このように見ていくと、法人の方がお金の出し入れからすれば自由がないということになります。
しかし、この法人への厳しさは法人の存続を守ることでもあるので、法人化にする際のマイナス面とは言えないかもしれません。
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